「寄り回り波」とは
「寄り回り波」は、富山湾特有のうねり性の高波です。暴風によって日本海北部で発生した波が伝播して「うねり」となって富山湾に侵入します。うねりは、海岸で局地的に高くなったり、富山湾の風や波が比較的静かになった頃に不意に打ち寄せることがあります。このため、これまで多くの被害が発生しています。特に、平成20年2月24日の高波災害は、「寄り回り波」により富山県の海岸各地に大きな被害が発生しました。
※「寄り回り波」は、沖から見て岸に向かって曲がって進むように見えたことから呼ばれるようになったと言われています。
寄り回り波の特徴
・発生時期は、12月~4月にかけて
・間宮海峡から北海道西方海上で低気圧が発達(冬型の気圧配置)
・周期10~12秒、波高3~5m程度のうねり性の大波
・海底、海岸地形と関連した局地的な高波(海底谷の影響)
・うねりの変形要因としての屈折、回折、干渉、砕波
過去に発生した主な寄り回り波の被害
年 月 日 | 被害状況 |
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昭和38年1月7日 | 負傷4名、家屋全半壊19棟、浸水247棟、護岸破損 |
昭和45年2月1日 | 負傷18名、家屋半壊8棟、浸水197棟、護岸破損 |
昭和47年12月2日 | 死者1名、負傷10名、家屋半壊9棟、浸水92棟 |
昭和54年3月31日 | 死者2名、行方不明2名 |
平成3年2月17日 | 死者1名、負傷2名、浸水7棟、護岸破損 |
平成20年2月24日 | 死者2名、負傷16名、家屋全半壊57棟、浸水161棟 |
平成20年2月24日の被害から、15年が経過しています!
どうして「寄り回り波」が発生するのか?
主に冬季において、低気圧が日本海北部を発達しながら通過し、日本の東海上で停滞すると、北海道の西海上では北よりの暴風が吹き、この風で高波(風浪)が発生します。
この波はうねりとして南へ伝わり、富山湾に到達します。これが「寄り回り波」です。うねりが伝わるのに半日から1日かかるので、風が収まって頃に突然高波が来ることがあります。
富山湾の地形
富山湾の地形は、浅いところが少なく、岸近くから急に深くなっていることが大きな特徴です。また、海底は深い谷(海底谷)が刻まれた、複雑な地形をしています。海底谷が迫り、岸から急に深くなっているところは、海の青さが一段と濃く、深い藍色をしています。その色から「あいがめ(藍瓶)」と呼ばれています。
平成20年2月24日 寄り回り波の被害
平成20年2月23日から24日にかけて強い冬型の気圧配置となり、日本海中部海域に長い周期の高波が発生しました。富山県内の被害は、高岡、射水、滑川および入善に集中し、港湾施設や漁港施設、海岸施設に大きな被害をもたらしました。富山湾東部の入善町で、特に被害が大きく、人的被害も発生しました。
平成20年2月24日 下新川海岸高波災害
リンク 国土交通省 北陸地方整備局 黒部河川事務所
平成20年2月24日の富山県内の高波について
リンク 富山地方気象台
「寄り回り波」に関する防災情報
「波浪警報」発表 ~「うねり「寄り回り波」のキーワードを付加~
警報・注意報、気象情報発表例
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高波に関する富山県気象情報 第×号
平成××年××月××日××時××分 富山地方気象台発表
(見出し)
富山県の海では、××日夜遅くから××日朝にかけて、うねり(寄り回り波)を伴った高波に警戒してください。
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