うどん王国　埼玉のうどん

2023年12月22日2024年5月11日

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日本の代表的な食文化である「うどん」。有名なうどんブランドと言えば、讃岐うどん（香川県）、稲庭うどん（秋田県）、氷見うどん（富山県）、水沢うどん（群馬県）、きしめん（愛知県）、五島うどん（長崎県）などでしょうか。そして、うどんの生産量全国１位は、もちろん香川県ですが、2位は埼玉県なんです。

歴史・由来

埼玉県のうどん生産量は全国2位で、全国有数のうどん王国です。昔と比べると減ってきてはいるものの、現在も小麦の主要生産県です。かつて埼玉県では、稲作の裏作として小麦の栽培が広く行われていました。そのため、地域ごとにバラエティー豊かに発展してきたのが特徴です。北東部は手打ちのコシが強く喉ごしのよいうどん、西部ではつけ汁でいただくコシが非常に強い茶色がかった色が特徴のうどん、県中央部の川沿いの地域ではモチッとした幅広のうどんなど。その数は20種類以上になります。

加須うどん　～300年以上の歴史を誇る～

加須市は昔ながら「手打ちうどん」で有名です。江戸時代半ばに不動ヶ岡不動尊總願寺の門前で参拝客にうどんを振る舞ったのが始まりだと言われています。手打ちならではのコシの強さとのどごしの良さが特徴で、盛りうどんを冷たいつゆでいただくのが基本のスタイルです。6月25日を「加須市うどんの日」と制定しています。

熊谷うどん　～生産から製粉・製麺まで～

熊谷市は何度もグルメイベント「全国ご当地うどんサミット」の開催地となりました。また、日本の小麦生産技術の功労者である「権田愛三」生誕の地であり、全国有数の小麦の産地です。地場産の小麦を使用した熊谷うどんは、香り豊かで食感がツルツル、モチモチなのが特徴で、熊谷のこだわりが生んだご当地うどんです。

こうのす川幅うどん　～インパクトある幅5cm以上の麺～

鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川の川幅が日本一であることにちなんで誕生したご当地うどんです。麺の幅が５cm以上であり、多くのメディアに取り上げられました。2015年には「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で初優勝を獲得しています。箸で持ち上げるとかなりの重量があり、強めのコシとモチっとした食感が特徴です。

こうのす川幅グルメ
鴻巣市観光協会ホームページ

煮ぼうとう　～渋沢栄一が愛した郷土料理～

近代日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一が好んで食べたと言われる郷土料理です。小麦を使った幅広の生麺を、地元特産の深谷ねぎをはじめとした地場野菜とともに煮込みます。。野菜から染み出した旨みがたっぷりの出汁が麺の美味しさを引き立てます。山梨県の「ほうとう」に似ていますが、「煮ぼうとう」は味付けが醤油ベースでかぼちゃが入っていないのが特徴です。

鳩ヶ谷ソースうどん　～鳩ヶ谷の埼玉B級グルメ～

オイスターとかつおの旨みをベースにした、酸味と甘みのバランスがほどよい特製ソースが食欲をそそるB級グルメです。当時の鳩ヶ谷市長と商工会青年部がタッグを組み、町おこしのためのご当地グルメとして開発されたそうです。味の決め手は、地元に工場があるブルドックソースと共同開発した特製ソースです。「日本５大焼きうどん」のひとつでもあります。

※日本の５大焼きうどんは、福岡の小倉発祥焼うどん、三重の亀山みそ焼うどん、岡山の津山ホルモンうどん、岩手のいわてまち焼きうどん、埼玉の鳩ヶ谷ソース焼きうどん。

武蔵野うどん　～武蔵野台地で食べられてきた農家の家庭料理～

埼玉の県西部と東京の多摩地区が発祥の郷土料理で、非常にコシの強い「手打ちうどん」です。江戸時代の武蔵野台地では、うどんはハレの日の行事食で各家庭でうどんを打つ習慣があったと言われています。つけ麺タイプであることと麺が太くやや茶色がかっていることが特徴です。ダシが利いた醤油味の温かい肉汁に冷たいうどんをつける「肉汁うどん」が有名です。

麦作の農業改良に尽くした　「麦王（麦翁）」権田愛三

権田愛三（1850年～1928年）は、現在の熊谷市に生まれました。当時の麦作りは、生産が安定せず、食料不足で困っていました。このため、麦作りの改良に取り込み始めました。研究を重ねて良質な麦の生産にむけて根張りを良くするために早春に麦の芽を踏む技術の「麦踏み」を取り入れ、大きな効果を発揮しました。また、熊谷の雪の少ない気候を利用して米の収穫が終わった冬の間に麦の生産をする「二毛作」を行いました。結果、明治29年には当時の収穫量の4倍から5倍をあげることに成功したそうです。